ホスピタルリーチ・プロジェクト


博物館と病院(および院内学級や養護学校)をつなぐプロジェクト。博物館が特殊教育や病院内の活動にかかわる意義や可能性を模索するプロジェクトとして2002年度に立ち上げ、現在も展開中。

メンバー:村田麻里子(メルプロジェクト)、塚瀬三重(東京大学大学院情報学環修士課程(当時))、林直哉(メルプロジェクト)、境真理子(メルプロジェクト)

ホスピタルリーチ・プロジェクトは、博物館による病院(および院内学級や併設の養護学校)へのアウトリーチ・プログラムを開発・実践する目的で立ち上げた(*)。アウトリーチ(Outreach)とは、博物館が外部の組織に向けて行なう活動や外部との関係を模索する活動全般をさす言葉であるが、博物館が特殊教育や病院内の活動に関わる意義や可能性を模索するプロジェクトとして位置付けたことから、このような名前をつけた。

具体的には、院内学級の「総合的な学習」の時間や学校開放日を利用し、闘病生活を送る児童らを対象に、博物館資源を活用したワークショップを企画・実施している。児童たちが、移動という身体的負担を経験することなく所蔵品にじかに触れることで、社会や人間や自然に対する刺激とイメージを持ち、病院内でのQOL(Quality of Life)や闘病意欲へとつなげることを目指している。

2002年度は、東京大学総合研究博物館と東大病院内にある東京都立北養護学校東大こだま分教室との連携を図り、こだま分教室の子供たちに博物館資源を用いたワークショップとギャラリートークをいった。2003年度も、昨年度に引き続きこだま分教室で実践を行なった。

さらに、2003年度には、中信松本病院に入院中の児童らが通う長野県寿台養護学校と、東京お台場の日本科学未来館との連携を行なった。ここではメルのコーディネートにより、未来館のスタッフが「時間」をテーマにワークショップを行なった。

ホスピタルリーチ・プロジェクトは、院内学級という特殊環境にいる子供たちに社会との回路をつくることを目的のひとつとしているが、このように博物館資源を病院で活用することは、病院と社会をつなぐことのみならず、博物館が社会とつながることをも意味する。実は、この実践の背後にあるのは、メディアとしての博物館がいかに社会のさまざまな構成要素との間に回路をつくっていくか、というテーマである。したがって、その射程にあるのは博物館や病院だけの問題ではない。博物館、病院、学校、メルプロジェクトが重なる領域における異分野交流、異文化コミュニケーションは、メディア・リテラシーの重要な鍵を握っている。

(*)2002年度4月1日に、東京大学大学院学際情報学府博士課程1年(当時)の村田麻里子と同大学院修士課程2年(当時)の塚瀬三重が立ち上げた。

【関連リンク】

●ウロボロス東京大学総合研究博物館ニュース(活動報告:ホスピタルリーチプロジェクト−博物館と院内学級とをつなぐ試み−):
  http://www.um.u-tokyo.ac.jp/museum/ouroboros/08_01/index.html