保土ヶ谷「まちのメディア研究会


メンバー:
保土ヶ谷まちのメディア研究会 青木敏彦(代表)、笠原正大、渋谷矩宣、大尾美登里、平澤基志、福田昌子、長野修一
メルプロジェクト 菅谷明子(経済産業研究所研究員)、並木志乃(東京大学情報学環)

保土ヶ谷まちのメディア研究会は、神奈川県保土ヶ谷区の市民が運営する、市民主導のメディア研究のための生涯学級である。研究会のメンバーから講座の相談を受けたことをきっかけに、全7回の授業を企画し、コーディネーターと講師をつとめ、並木志乃さんがアシスタントとして講座をサポートしてくれた。参加登録者は運営委員を含め約40名。受講者が自ら体験し、考えることが重要だとの考えから、講座は講義スタイルではなく、参加型のワークショップ形式とした。また、現場の生の声に耳を傾ける必要性を考え、朝日新聞くらし欄石井勤編集長、TBS報道特集のディレクター黒岩亜純さんらをゲストにお招きし、現場ならではの話をしていただき、それらをふまえて実際にニュースの制作プロセスを体験する機会を得た。

ところで、講座の初回では、メディアについて自由に語ってもらったが、予想以上に反メディアの声が強かった。ところが、講座を通じてニュースの選択作業や、映像・編集などについて学習し体験するうちに、メディアを使ってものを伝えることがいかに難しいか、また事実をそのまま伝えようとしても、主観が入り込まざるを得ないのかなどを体験していった。

テレビ朝日が講座に関心を持ったことから、受講者はスタジオ見学や映像作品を作ることもできた。なかなか入り込めない、放送の舞台裏を垣間見られたことは大きな収穫だったと思うし、実際に番組を作ってみたことで、メディアに対する理解はさらに深まったようだ。それに加えて、講座は番組にも取り上げられたため、自分たちがメディアによっていかに切り取られて伝えられるという貴重な体験もできた。

こうした豊かな学びのプロセスを経て、受講者たちはメディアの特性を理解するなかで、メディア・リテラシーの基本的な考え方を理解し、また、単にメディアの読み解きだけでなく、既存の枠組みにとらわれないメディア表現の可能性についても気付いてくれた。そして何より、ゲスト講師や私自身が講座の参加者から学ぶところが実に多かった。

各地で市民講座は盛んに行なわれているものの、メディア・リテラシーをテーマにしたものはまだそれほど多くない。メディアは市民にとって日常的に接している身近なものであるだけに、メディアの性質を理解し、自分ならではのメディア表現を創り上げていくことは、自立的なメディア環境を作っていく上でも重要である。そして何よりメディアを使った表現は、この上なく楽しい取り組みである。地道ではあるが、こうした小さな試みが、だんだんと社会に広がっていくことを期待したい。

【関連リンク】

●まちのメディア研究会:http://yokohama.cool.ne.jp/matinomedia/2002/index.html