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メルプロジェクト・メールマガジン
「メルの環」2004年9月号

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8月上旬、新潟県の静かな山あいの温泉地にて、メルプロジェクトは2004年
夏合宿をおこないました。参加者は「避暑」というかぐわしい言葉を頭にいだ
いて現地に集まったのですが、着いてみれば猛暑にフェーン現象が重なって空
はカンカン照り、気温は39度。太陽に映えて映えてギラギラしている緑にめま
いをおぼえながら、議論に話し合いにワークショップにいそしんだのでした。
年に一度の合宿は、ふだんなかなか顔を合わすことのできないメンバーも日本
各地から集まる貴重な機会。みなが刺激を与え合い、実りある3日間でした。
今月号ではその一部の報告もあります。どうぞお楽しみください。(編集担当)


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               ■ 目次 ■ 
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MELL Project News
■1■[メルプロジェクト] 9/25 9月公開研究会のご案内


Other Information
■2■ ケータイ片手に山から海へ、真夏のメディア・キャンプ
     ――モバイル・メディア・リテラシー実践ワークショップ報告

■3■ 温泉郷にあらわれたブリティッシュ・パブ
     ――パブリックスペース研究会・コミュニケーション空間創成の試み

■4■  小さな町のメディアリテラシー
     ――小淵沢町・おとなと子どものたのしい学び

■5■ 9/4 第2回 beat seminar「ケータイと教育の未来」のご案内




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               ■ 本文 ■ 

MELL Project News
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■1■[メルプロジェクト] 9/25 9月公開研究会のご案内

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 メルプロジェクト9月公開研究会は、サイエンスコミュニケーションをテー
マに東京大学大学院情報学環助教授の佐倉統氏をお招きし、「市民と科学技術
を結ぶ回路」についてお話ししていただきます。同氏は科学と社会を結びつけ
る幅広い活動を続けるなかで、テーマをメディアや市民とのコミュニケーショ
ンへと広げてきました。専門化する科学を横断する知、サイエンスコミュニケ
ーションの試みと現状を紹介します。
 夏休みを経て2カ月ぶりの公開研究会、乞ご期待ください!



       メルプロジェクト9月公開研究会
    「サイエンスコミュニケーションの横断知:
       市民と科学技術を結ぶ回路作り」
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○日 時 9月25日(土)午後3:00〜6:00
○場 所 東京大学本郷キャンパス・大学院情報学環アネックス2F会議室
     の地図を参照して下さい
○登壇者・プログラム
     佐倉統(東京大学大学院情報学環助教授)
      「科学コミュニケーションはなぜ必要か
             ──暮らしと科学、暮らしの科学」
     薗田恵美氏(東京大学大学院情報学環修士1年)
      「科学コミュニケーションってなに?
                    ──その見取り図」
     寿楽浩太氏(東京大学大学院情報学環修士2年)
      「科学コミュニケーションの現状と問題点
        ──原子力発電とコンセンサス会議を中心に」
○概 要
脳やゲノムの解明が進む最近の科学では、私たちの生命観を変えるような成果
が続々と出ています。医療の現場では、巨大科学と個人が直接向き合うような
現実があります。しかし、一方で科学は高度化、細分化し、その実体が見えに
くくわかりにくいものとなり専門家と市民の溝は深くなっています。ちょうど、
メディアの送り手と受け手が乖離し不幸な関係にあることとよく似ています。
分野を越境し溝を埋め結ぶために、サイエンスコミュニケーションの重要性が
盛んに言われていますが、その試みは始まったばかりです。
今回は、進化生物学、科学史、先端技術論まで活動の場を広げている佐倉統氏
と、同研究室で科学コミュニケーション研究に取り組む院生をお招きし、様々
な分野を結びつけるプロジェクトや研究活動を紹介していただき、議論を進め
ます。閉じた専門化集団の問題もまたメルプロジェクトの取り組んでいる課題
であり、相対化し回路を作るために何が必要かを考えていきたいと思います。
(境真理子:メルプロジェクト・リーダー/日本科学未来館研究員)




メルプロジェクトの公開研究会は参加申込み・参加費不要、どなたでもご参加
いただけます。みなさまのご参加をお待ちしています。




Other Information
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■2■ ケータイ片手に山から海へ、真夏のメディア・キャンプ
      ――モバイル・メディア・リテラシー実践ワークショップ報告
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 ――メルプロジェクトの「ケータイ研究」はさまざまなかたちで進行中で
 す。猛暑にあえいだ8月の日本列島は九州で、1つのワークショップがひ
 らかれました――

 去る8月6日〜8日の3日間、モバイル・メディア・リテラシー研究の実践
ワークショップ第一弾となるメディア・キャンプが福岡県の上陽町と津屋崎町
で行なわれました。NTTドコモ・モバイル社会研究所、上陽町ふるさとわらべ
館の協力のもと、NPO子どもとメディア、NPO子ども文化コミュニティが実施
し、東京大学大学院情報学環、多摩美術大学情報デザイン学科からスタッフが
参加(主催:福岡県青少年メディア環境改善対策事業実行委員会)。約20名の
小中学生が約15台のケータイを手に手に山から海へと駆けめぐりました。
 山の町・上陽での第一のプログラム「私は誰でしょう」では思い思いの動物
になった子どもたちがケータイ片手に山野を散策、その様子がその晩、山奥の
廃校の真っ暗な教室で上映されました。翌日、炎天下で行なわれた第二のプロ
グラム「世にも希な上陽マップ作り」のお題は「涼しい編」。ケータイ片手に
森や川へ、はては真っ暗な洞窟へと涼を求めて探索した子どもたちは、次に青
い海の町・津屋崎へと移動、そこで海に沈む赤い夕陽を望みつつ、緑いっぱい
の上陽の涼しいマップを作りました。男の子チームの作品は「涼しい僕らの上
陽Map・これぞケータイ技」、女の子チームの作品は「自然が作る涼しさのあ
る上陽町」、いずれも上陽町の公式サイトでご覧になれます。
 電波が通じにくいなど、予想外の問題もありましたが、ケータイ・メディア
をめぐってさまざまに思いがけない発見に満ちた3日間でした。その成果はあ
らためてご報告する予定です。それにしても、あ〜暑かった!
(伊藤昌亮:東京大学大学院情報学環博士課程、メルプロジェクトメンバー)

□ メディア・キャンプ in 上陽町
http://joyo-town.jp/2004/08/media/media.htm

□ 上陽町公式サイト
http://www.joyo-town.jp



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■3■ 温泉郷にあらわれたブリティッシュ・パブ
     ――パブリックスペース研究会・コミュニケーション空間創成の試み
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 ――8月猛暑の日本列島、今度は北陸新潟の温泉地にて、メルプロジェク
 トの夏合宿が行なわれました。合宿初日の夜に実施されたこの実践は、参
 加者全員が多いに楽しみました――

 パブリックスペース研究会は様々な分野に身を置くメンバーが集まり、各自
の背景や立場、関心の共通点と相違点を見極めながら「パブリックスペースと
は何か」、実践とモノを通して考えていこうという集団です。
 メルプロジェクトの夏合宿では、cafe publique(カフェ・ピュブリーク)と
いう実践を行ないました。これは、メンバーが店員となり開店した架空のプリ
ティッシュパブ「スイミング・リコーダー」を舞台とし、参加者はエールやシ
ングルモルトを楽しむ客となり、そのうちの何人かの「自慢話」を聞きながら
お互いのコミュニケーションを図るという試みです。この実践の目的は、言葉
とモノの結節点であったかつてのパブをcafe scientifique (*1) にアイディア
を借りて再現し、場にいる人どうしのフラットなコミュニケーション空間をつ
くることでした。背景には、公共施設や出版といった「パブリックを支えるシ
ステム」においてコミュニケーションの回路が痩せ細っているのではないか、
という問題意識があります。
 今回の実践で気を遣ったのは、ありがちな「一方的な語りと拝聴の空間」に
なることを避けて、「気持ちのいい自慢話の空間」としてパブを仕立てること
でした。当日のパブでは、スピーカーのさり気ない「自慢話」と聞き手からの
リフレクション、そして会話を支える空間のしつらえやモノによって「気持ち
のいい自慢話の空間」は十分に生み出されていたように思います。
 コミュニケーションが多声的に展開される状況そのものをつくるのは無理が
ありますが、それをさり気なく支える空間をデザインすることはできます。
cafe publiqueを通して、そういう空間をつくる要素の一端を見た気がします。
温泉郷の会議室に「話」と「モノ」、そしてそれらへの「思い入れ」によって
コミュニケーションの空間が立ち現れたことは、研究会にとって大きな意味が
ありました。
(氏原茂将:東京大学大学院情報学環修士課程、メルプロジェクトメンバー)

(*1)フランスのcafe philosophiqueにヒントを得て,90年代にイギリスで開始。
カフェやパブで専門家と一般市民が同じ目線で科学について語り合うというも
ので、現在はイギリス各地で開催されています。啓蒙ではなく、科学について
議論することを生活に根づいた文化にすることを目指しています。
□Cafe Scentifique
http://www.cafescientifique.org/



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■4■  小さな町のメディアリテラシー
         ――小淵沢町・おとなと子どものたのしい学び
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 ――美しい山梨の町に暮らすメルメンバーの中森さんに、地域のメディア
 リテラシー活動を伝えていただきます――


 私は1987年にラジオ大阪を定年退職し、日活と松竹でCSの仕事にかかわっ
たあと、10年前に山梨県の小淵沢町へやってきました。たまたま小淵沢町で
CATVが開局されることになり、その立ち上げから6年間、町営CATV局
「にこにこすていしょん」で局長というはれがましい肩書きをいただいてお手
伝いをしてきました。
 八ヶ岳高原の小淵沢町は、人口6200人の小さな町です。町営CATV局
「にこにこすていしょん」は、町民の立場に立った町の情報をきめ細かく放送
して います。
 この町でとりくまれているメディアリテラシーは、公民館主催の青少年事業
の一つ「にこにこテレビクラブ」と中学校の総合学習の一つ「メディアリテラ
シー」です。「にこにこテレビクラブ」は、小学生が対象で今年は5年生4人、
6年生2人の小さなクラブで6年生の1人を除いてあとは女の子です。中学校
のほうは、環境問題にとりくんでいる3年生の中の16人で、うち6人が女子
です。自分たちが学んだ環境問題をビデオを通じて人に伝えたいというテーマ
をもっています。
 この子どもたちの手伝いをしているのは、私と教育問題に熱心な主婦の前島
さんを中心に、CATV局スタッフの黒瀬さん、役場の職員の吉田さん、それ
に、プロのカメラマンの佐久間さんが課題に応じて手伝ってくれています。佐
久間さんは、NHKの『地球ふしぎ大自然』の撮影を担当している大ベテラン
で、この春からメルプロジェクトに加わってくださった方です。
 両方ともこの5月にスタートして、小学生は隔週土曜日の午前2時間半、中
学生は毎週金曜日の午後2時間で、夏休みを挟んで11月までの予定です。
 〔私にとってテレビって何?〕〔とにかくカメラを持って飛び出そう〕〔カ
メラの使い方を学ぼう〕〔ビデオの編集を学ぼう〕〔みんなで企画を考えよう〕
と重ねてきて、夏休み明けから、いよいよ番組制作に入ります。
 とにかく、楽しくやっています。子どもたちの反応や発想に目を見張ること
がしばしばです。佐久間さんが子どもたちと同じ視線で話し合ってくれるのが、
子どもたちにとって大きな刺激となっているようです。
 次回は、とりくみの具体的な内容をお知らせしたいと思います。
(中森謹重:メディア総合研究所研究員、メルプロジェクトメンバー)

□にこにこすていしょん
http://www.yatsu.gr.jp/kbc/nist/nist.html



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■5■ 9/4 第2回 beat seminar「ケータイと教育の未来」のご案内
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来たる9/4(土)、 下記の要領で第3回東京大学情報学環・学際情報学府ワー
クショップが開かれます。今回は本メルマガでもご紹介してきたベネッセ先端
教育技術学講座「BEAT」の公開研究会「beatセミナー」を兼ねての開催で、
テーマは「ケータイと教育の未来」。ご関心のある方はぜひお運びください。



    東京大学情報学環・学際情報学府 第3回ワークショップ
     ベネッセ先端教育技術学講座「beat seminar」第2回
          「ケータイと教育の未来」
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 □日 時  2004年9月4日(土)午後2:00〜5:00
 □会 場  東京大学本郷キャンパス・山上会館
 □登壇者  山川隆(NTTドコモ・モバイル社会研究所副所長)
       緒方広明(徳島大学工学部助教授)
       佐和伸明(千葉県柏市立旭東小学校)
 □概 要  第3世代・高機能化により電話から新しいメディアに進化
       しはじめたケータイ。その近未来像と教育における新しい
       利用形態を、3人のゲストスピーカーをお招きして考えて
       いきます。懇親会も予定されています。
 □定 員  100名
 □参加費  無料
 □申込み  参加希望の方は、お名前、ご所属、懇親会への参加希望の
       有無を電子メールでお知らせください。
       










           (2004年9月号 おわり)
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       (コーディネーター:水越伸・東京大学大学院情報学環)
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       (「メルの環」編集担当)
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             「メルの環」編集担当
   松井貴子(水越研究室アシスタント) 崔銀姫(北海道東海大学) 
   高宮由美子(NPO子ども文化コミュニティ)  山根かおり(pampam)
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         東京大学大学院情報学環「メルプロジェクト」
              
 プロジェクトリーダー
  境真理子(日本科学未来館)    菅谷明子(ジャーナリスト)
  林直哉 (長野県立梓川高校)   水越伸(東京大学大学院情報学環)
  山内祐平(東京大学大学院情報学環)
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Media Expression, Learning and Literacy Project
on Interfaculty Initiative in Information Studies, The
University of Tokyo
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