Media Expression, Learning and Literacy Project
on Interfaculty Initiative in Information Studies, The University of Tokyo



 【記録】 メルプロジェクト・シンポジウム2006:メルプロジェクトの播種(はしゅ)
 【Report】 MELL Project Symposium 2006: Seeding of the MELL


  Sat, 03/04/06, 13:45〜15:45 パネル・ディスカッション「コミュニケーション&デザインの時代」 Panel Discussion ‘The Epoch of Communication and Design’
・登壇者:小林傳司(大阪大学コミュニケーション・デザインセンター)、高宮由美子(NPO子ども文化コミュニティ)、本橋春紀(日本民間放送連盟番組部)、吉見俊哉(東京大学大学院情報学環)
・司 会:境真理子(江戸川大学マスコミ学科)、村田麻里子(京都精華大学人文学部)
・Speakers: Tadashi Kobayashi(Center for the Study of Communication-Design, Osaka University) Yumiko Takamiya(NPO Community of the Culture With & For Children) Haruki Motohashi (The National Association of Commercial Broadcasters in Japan) Shunya Yoshimi (Interfaculty Initiative in Information Studies, The University of Tokyo)
・Chairs: Mariko Sakai (Dept. of Mass Communication, Edogawa University) Mariko Murata (Faculty of Letters, Kyoto Seika University)

 このパネル・ディスカッションでは、さまざまな面でメルプロジェクトと底流で関連している分野や活動に携わっている方々を登壇者に招き、メルを含めた相互の関係性について検討してみた。メルプロジェクトとはどのような活動であったのかを、外部の文脈の中に位置づけてみることで、あらためて捉え直そうという試みである。

 冒頭で司会の境真理子さん、村田麻里子さんからパネル・ディスカッション全体についての説明があった後で、前半は4人の登壇者からそれぞれの活動内容や関心領域について、メルプロジェクトのシンポジウムではお馴染みとなった「カンブリアン」システムを用いながら順に紹介された。まず本橋春紀さんは、本業である民放連でのさまざまな活動と大学での講義や研究会などの個人的な活動について、メルプロジェクトとの関連も含めて説明した。続いて吉見俊哉さんからは、ご自身の問題関心が初期の「演劇」から現在の「政治的状況への関与」に至るまで、時代に応じて7つの段階を経てきたことが「カンブリアン」システムによって確認できるという指摘があった。高宮由美子さんは、子どもの主体性を重視するNPОの活動と、メルプロジェクトにおける複数のワークショップとの協働活動、そして地元大学との連携活動などについて説明を行った。最後に小林傳司さんからは、科学技術と社会や市民との関係、さらには大学の社会的機能など、大阪大学コミュニケーションデザイン・センターが取り組んでいる問題について分かりやすい紹介があった。

 後半は、4人のそれぞれの活動や関心を表している「リーフ」のつながりの小宇宙を、特定のテーマに応じて相互に結び付けて一つの大宇宙へとつなげてみた。そして、そこで見えてきたものをもとに、これからのコミュニケーションをどのように構想していくのかについて議論が交わされた。その中にはたとえば、メディアの本当の理解とは個々のメディア技術にとらわれるのではなく、その技術の上で実現しているコミュニケーションの形態や社会的な役割こそが重要であるとの議論、マスメディアを相対化していくような今後のコミュニケーションの可能性は、ネットをはじめとする新しいメディアだけではなく活字やラジオのような一見古いメディアの中にその核心があるという議論、現在の社会環境の中で大文字の政治状況と関わっていくことの重要性と、そのような政治状況との関わり方の方法論をデザインしていくことの重要性についての議論など、多岐にわたる興味深いディスカッションが行われた。

 登壇者たちの活動とメルプロジェクトの活動との共通点や差異を見つめることで、メルプロジェクトの輪郭とそれが目指していたものをあらためて再確認できたように思う。


(北村順生)
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